人間とテクノロジー

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Science誌の新媒体Science Roboticsはオルタナティブな研究の発表の場に

 中高生のころ、alternativeという単語を何度も辞書を引いた。意味がよくわからなかった。ニルヴァーナスマッシング・パンプキンズをよく聴いていたころのことだ。

 今macに入っている辞書でalternativeを調べると、以下のように出てくる。

1 【今あるものとは】別の, それに代わる 2 (伝統的基準方法と対比して)普通とは違った,新しい, 型にはまらない 3 (以前のものと比べて)より害の少ない, より効果的な. 4 (2つ以上のうちで)どれか[どちらか]1つを選ぶべき.

 2の意味でのオルタナティブな学術研究は、発表の場にこまる、らしい。学術研究は、論文とか国際学会での発表が成果になる。ところが、新しい分野や境界領域、異分野融合研究は、従来の専門特化した領域にとっっては中途半端なので、評価されない、というわけだ。

 そういった、オルタナティブな学術研究を受け入れ、評価される場として、Science誌の新媒体として、Science Roboticsが創刊した。先日、そのシンポジウムがあった。

 ロボット関係者にとってはよく知られた「不気味の谷」は、東工大名誉教授の森先生が1970年代に発表した。「不気味の谷」とは、ロボットの見た目をある程度人間に近づけると親しみが増すが、完全に似ている一歩手前まで似せると、親しみではなく不気味さを感じるという現象だ。

 ただ、当時はロボット学会ができる前で、工学系の研究分野では学術誌へ発表する場がなかった。Science Roboticsは、そのような、従来の研究分野に縛られていると発表の場がないような研究を発表する受け皿にしたいという。

 新しいことは、深く掘り下げていくだけでは不十分だ。特に、イノベーションと今言われるような全く新しいことは、辺境で生まれる。分野の間の境界領域や、交わることによる反応から生まれる。でも、既存分野に閉じていると評価されない。オルタナティブな学術研究がもっと評価されるようになるといいな。