備忘録

テクノロジーと人間

LIVING LAB HONGO

CABINはみこしだった。みんながそこに集まった。

っていう話を、CABINが撤去される直前に開かれた「さよならCABIN」といういうイベントで先生方が仰っていたのが忘れられない。

CABINは部屋の5面がディスプレイになっている没入型ディスプレイで、1990年台後半から2012年ごろまで東大IMLにあった。そこでは、工学系の先生や学生だけでなく、心理学など文系の先生方も集まり、CABINを使った研究を行ったという。

「昔の工学部は設備産業。なかなか触れない設備が、人を集める力になった。少し前には3Dプリンターやモーションキャプチャーもその役割を果たしたかもしれない。でも今は違う。原点に戻ろう。人が集まるのは、おもしろい人が集まっているところ」

と、昨夜、稲見研LIVING LAB HONGOのオープニングパーティの冒頭で稲見先生がおっしゃった。LIVING LAB HONGOは、そのように人が集まる場にしていきたいという。

昨夜のオープニングパーティは、先生のその思いがとても伝わってきて、また実際におもしろい人たちが集まり、何かの反応が起きているような熱い場だった。

いいな、と思ったのが、異なる世代間の研究者たちの反応を垣間見られたこと。

「ばーかばーか」

と、若手セッションに乱入してきた少し上の世代のベテラン勢。その場では若手がやられっぱなしに見えたけれど、あとからついったー上で若手からの宣戦布告(?)のやりとりを目にして、にやりとしてしまった。いいなあ、って。

研究者に限らず、今の日本で起きているのは、世代間の考えの乖離だ。少子高齢化と人口減少で社会が衰退期に向かっている一方で、具体的にどうしたらいいのか大きなストーリーが誰もが描けていない。その中で、「未来」の年数の違いがそれぞれの考え方に大きく影響して、世代間での乖離が進んでいるのが現状だと思っている。

その乖離自体は仕方がない。でも、問題はそれぞれの間でお互いに対する理解が進んでいないことだと思うのだ。異なる考え方の人同士の乖離が生まれているのはなにも世代間に限らないけれど。でも、LIVING LABのような、色んな人が集まる場が、そういう乖離を少しでも埋められるといいな、と思った。

それと、こういう場が大学の中にある、ということに意味があるようにも思った。少し前にある業界の大御所研究者がこうおっしゃった。

「大学はいいよ。異なる分野、業界の人達と一緒にプロジェクトを進めるために。なんでだと思う?」

と聞かれ、中立だからですか?と答えたら、

「(企業などとくらべてセキュリティが甘く)誰でも入れるから。それと大学は社会から敬意を払われている」

と笑った。

その先生は、数年前から省庁横断で産学官のプロジェクトのトップをつとめることになった。ずっと専門性を突き詰めてきたから、異分野の研究者や業界の人たちとの協働は始めてづくしという。それでも、その先生のお人柄もきっとあり、分野が違うと常識が違う、ということをすごく楽しんでいらっしゃった。

それはともかく、LIVING LAB HONGOのこれからがとても楽しみ。

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