ハリウッド版攻殻機動隊「ゴースト・イン・ザ・シェル」雑感
だいぶ前に試写で観ました。先週末公開されたので、記憶を手繰り寄せて雑感を。観たのは3D字幕版。
まず冒頭の映像がすごい。香港を思わせる猥雑でネオンに彩られた、高層ビルが立ち並ぶ町並み。ビルと同じ高さの舞妓さんなんかがゆらゆら揺れている。攻殻機動隊の世界に親しんできた私たちがこういうのを観たかったよね、という映像を実写で観せてくれる。ハリウッドで作らないとこれは観られない。
それから少佐を演じたスカーレット・ヨハンソンは彼女以外に思いつかないぴったりな配役。少佐のイメージとしては押井監督版に近い。
過去の攻殻作品へのオマージュが各所に散りばめられている。あの絵もあの絵もあの絵も。。。。原作の士郎政宗さん、押井監督と神山監督へのリスペクトが感じられる、印象的な絵が実写映像で目の前に繰り広げられる。攻殻ファンこそ楽しめる。
人と機械が融合する時代、人間とはなにか、自分とはなにか、生命とはなにか、そういった問いかけが、原作漫画でも押井監督版でも描かれていた。そこが好きな人には、ハリウッド版のストーリーは陳腐に感じられるかもしれない。
ハリウッド版のストーリーは、もっと単純明快だ。勧善懲悪ものでもあり、家族、愛、といったハリウッドが好むテーマが盛り込まれる。
(それいらない・・・)と思ったけれど、前述のとおり、過去の攻殻作品へのリスペクトがすごい。だから、これは攻殻のファンムービーなのだ、と観ると、楽しめる。
攻殻ファンは実写映像の素晴らしさという点だけでも観るのは必須。これまで攻殻観たことない人は、ハリウッド版を入り口に、原作漫画や押井版の認識論の世界に入っていくのが両方楽しめていいのかも。
1989年の原作漫画。欄外に筆者のごちゃごちゃした書き込みがあり、一度では読みきれない。難解なので、何度も読む必要あり。
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押井守監督によるアニメ劇場映画。これの公開は1995年。ネット普及以前にこの世界観。
攻殻機動隊関連作品はほかにも多数あるが、まずこの2つを抑えてから。
ちなみに先週号で記事書きました。ウェブで公開されている。