科技メモ

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第二フェーズ

「倫理委員会」という委員会名は適切ではないのかもしれないという議論は常にある。実際、数年前にこの委員会が設置されたときには、別の名称も検討されていたという。それでも、「倫理」という単語を入れたことで、誤解をされながらも様々な人から関心を持たれやすくはなった。それは、色んな人達と対話をするために、という委員会の趣旨からしたら、願ったり叶ったりの方向だった。

医療系などで倫理委員会というと、倫理規定に即しているかどうかを判断する場という位置づけが強い。ところが、私たちの倫理委員会はそうした判断をするものではない。倫理規定に相当するものも当初は持たなかったし、全員でざっくばらんな議論をして構成的に作り上げていく場だった。

「倫理委員会」なのに委員に倫理の専門家がいないというご批判を受けることがある。倫理の専門家のご意見を伺うことはある。だが委員にはいなくてもかまわないと私は個人的に思っている。いてもいいけれど。

倫理の専門家はいなくても、多様な分野を専門とする多様な顔ぶれが集まっている。それぞれの専門家が、人工知能と倫理について議論をするという場になっている。

委員会ができて2年半ほど、私が参加して2年弱。数ヶ月前に、ひとつの目標としていた倫理指針の公開にこぎつけた。そもそも、倫理指針の作成をアジェンダ設定とするところから議論を始めた。なので実質倫理指針の作成にかかっていたのは1年ほどだった。

いずれにしても、第一フェーズが終わり、第二フェーズをどうするかという段階に来ていた。とはいっても、活動をしていると自ずとアジェンダが形成されてくるもので、倫理指針を公開したころには、すでに次のアジェンダとなるものの原型が見えてきていた。それをもっとくっきりさせて積極的に進めていく、というのがひとつのあり方で、今のところそちらへ進もうとしている。

今後の進め方として、私はここが、誰もが人工知能と倫理について議論するためのコミュニティを形成する場になればいいと思っている。もちろん意志決定をするためのコアは持つべきなので固定の委員は必要だけれど、コア以外はゆるくオープンにつながる仕組みがあるといいと思っている。メインには情報共有を、そして議論ができる場を、そこから人のネットワークが形成されていけばいいと思っている。

もやもやを抱えている人、課題を抱えている人、もしかしたらそれ自体が何か別の解決策になるかもしれない人、何かひとこと言いたい人、そういう人たちがどんどん入ってきて、場が合えばそこにとどまり、合わなければ通過していく、そういうゆるい場ができればいいと思っている。

というのは、実際、私がその委員会に入るきっかけは、そんなところだったからだ。飲み会で言いたいことを言った、記事を書いた。それでじゃあ委員をやって、と言われた。言いたいことがあるならやって、とばかりに。

でもそこで2年近くで、ルーチンではなくて、議論をする中から当初は想定もしていなかったアウトプットが出来、更に周辺環境が形成されていった。これはとてもおもしろい。

さて第二フェーズだ。