人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

2011年のWIRED

WIRED日本版の雑誌が復活したのは2011年で、コンデナスト・ジャパンに出版社がうつってからのことだ。dマガジンの創刊号特集で復刊1冊目の2011年6月に出た号が読める。WIRED日本版は当初は季刊だったが、2015年3月から隔月になった。

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復刊第1号の表紙は、まるでホール・アース・カタログだ。当時編集長は別の方だが、若林さんの翻訳クレジットの記事がいくつかある。

その中のひとつが、特集「テクノロジーはぼくらを幸せにしているか?」の冒頭の、スティヴン・レヴィのテキストだ。6年前なのでまだ今のAIブーム以前だが、AIの影響による人間、社会の変化に言及している。

われわれは機械とペアになって永遠にダンスを踊り続けているのであり、きつく抱擁したまま、ますます依存度をたかめていくのだ

今読んでも違和感のないテキストだ。逆に言えば、AIブームと言われるようになって5年ほど経つ今になってもまだ、テクノロジーと人間に対する私たちの認識は相変わらず変わらないままなのかもしれない。

WIREDは1993年にアメリカで創刊され、日本版は1994年に創刊されたが4年で休刊に。日本版のウェブサイトHotwired japanがあり、学生時代の私はこれをよく読んでいたが、これも2006年には休刊した。私がWIRED文化に触れたのはHotwired japanが最初だったが、2011年にコンデナスト・ジャパンから復刊して以降の若林さんが編集長になってからのWIREDの印象がとても強い。

イノベーションとアイデア、とWIREDは言う。テクノロジーや科学をベースにしながらも、根底にあるのは哲学といった人文社会科学的な素養だ。仏文出身で音楽に造詣が深く、別冊太陽の編集者をつとめた若林さんカラーが好きだ。

本来のWIRED文化そのものではないかもしれないが、そういった若林さんのWIRED的な思想やあり方に共感している。で、そういうことが今いる場所でできないかなあと、今の編集部に来てからなんとなく思っていて、この前の上司面談で、そう言ってみた。