人間とテクノロジー

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いわゆる「人工知能」研究者コミュニティの分類

一昨日の人工知能学会合同研究会での杉山先生の招待講演はほぼ一般向けの内容だったが、いわゆる「人工知能」研究者コミュニティの分類が整理されていてわかりやすかった。「人工知能」研究者、というと日本では人工知能学会が代表のように言われるが、機械学習が専門で東大教授、理研AIPセンター長の杉山先生は人工知能学会コミュニティではない。

人工知能コミュニティは、この図にある「人工知能研究」「ニューラルネットワーク研究」「機械学習研究」の3つのコミュニティに分かれて、それぞれで研究が進められてきたと杉山先生は指摘をする。これは国内だけでなく、海外でも同様という。

もともと「人工知能」はダートマス会議から始まり、人の知能をコンピュータで実現しようという夢が根本にある。こうした「人工知能」の思想を受けてその研究を進めてきた「人工知能研究」「ニューラルネットワーク研究」が1次ブーム、2次ブームとそれぞれ発展してきた。

一方、これらとは別に、90年代からコンピュータサイエンスの研究者が進めてきた流れが「機械学習」コミュニティだという。杉山先生もここに含まれる。先の2コミュニティに対して、この「機械学習」コミュニティは、人の知能をコンピュータで実現するといった「人工知能」を自分たちが研究しているという認識ではないという。

だが、経済社会的に実用面から今のAIブームで「AI」として注目を集めるのはこの機械学習の流れにある。

研究者コミュニティはこの3つに分断しており、特に「人工知能研究」「ニューラルネットワーク研究」のコミュニティは機械学習の流れを飛ばして、「汎用人工知能(AGI)」を目指しているが、これら3つのコミュニティが協力しあって研究を進めていく必要がある、と杉山先生は指摘する。

コミュニティが違うというのは、それぞれの研究発表の場である学会や研究会などが異なるということを指す。

この図では神経科学や社会科学などコンピュータサイエンス以外も含まれるが、「人工知能」に関係する国際会議と関連分野は多岐にわたる。

 

ところで、杉山先生の講演から離れるが、コンピュータサイエンスだけでも、ものすごく大雑把にAI(Airtificial Intelligence)コミュニティとIA(Intelligence AmplificationまたはIntellifence Augumentation)コミュニティに研究者コミュニティは分かれている。なお、AIコミュニティは杉山先生の3分類を包含するもので、IAコミュニティはVRなどHCI系だと理解している。海外でも同様だということがジョン・マルコフさんと瀧口さんの本でかなり明確に見てとれる。

 

人工知能は敵か味方か

人工知能は敵か味方か

 

AIコミュニティとIAコミュニティは、思想の根本の違いから二分できるようだ。前者は人間の知能をコンピュータで実現すること、後者は人間を拡張または増幅するためにコンピュータを活用すること。ものすごくざっくりと社会実装については、前者は分析などソフトウェア、後者はインターフェイスとして実装されることが多い。とはいえ、社会実装ではソフトウェアとインターフェイスは切り離せない。これらのコミュニティが研究だけでなく社会実装がより近くなるにつれ、接点が増えるのは必然だ。

なお、AIコミュニティ(のうち人工知能学会の方たちの一部)もIAコミュニティ(のうち主にバーチャルリアリティ学会の方たちの一部)も四川料理が好きという共通点がある。私はもともと辛いもの好きだが、両コミュニティの方たちとそれぞれ別に四川を食べに行くうちに辛いもの耐性が付きすぎてしまった。

杉山先生の講演にあったように、3つの人工知能関連コミュニティの連携または融合も必要だし、そのさらに進んだ社会実装レベルではAIコミュニティとIAコミュニティの連携がより重要になっていくと考えている。ただ、その際に両者の思想は水と油のようにあまりにも違いすぎていることが時々気になっていて、そのあたりうまく舵取りができるような仕組みとか枠組みとか人とかってどういうふうなのかなあ、結局は市場原理なんだろうけどなあとか、よくもやもやしています。