人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、取材とか思ったこととかの備忘録

人工知能(AI)の射程とブームのゆくえ

人工知能(AI)ブームももう4−5年経っていますがそろそろ失速するんでしょうか。以前、日経・読売・朝日・毎日のそれぞれについて「人工知能」でキーワード検索(見出し、本文)をして引っかかった記事数の2010〜17年の推移を調べたことがあります。4紙中、日経の記事数のここ数年の増え方が凄まじいです。経済・ビジネスで特に注目されているということ。

月ごとではなく年ごとに集計しているので傾きは適当ですが、2014-5年に傾きが急になっています。2017年は年間2092本なので、1日5〜6本は「人工知能」と書かれた記事が紙面に掲載されていることになります。

で、ここでいう「人工知能」ってなんやねんというのは、議論しはじめると永遠に終わりませんが、少なくとも実務上(企業のビジネスであれアカデミアの研究であれ)は今何を指して「人工知能」と言っているのか、明確になっているといいんじゃないかなあと思います。

人工知能(AI)」ってなんやねん、というのは、目的次第で便宜上は定義をすることはできます。

まず、おそらく上記の日経の記事でももっとも多いと思われる、社会経済的に重要という点でのAIの定義(というか射程)は、次の3分類がリーズナブルだと思っています。AIといったときにIT全般、機械学習、深層学習のどれかに含まれる、という分類です。これら3点は、以下のようにそれぞれの部分集合で表せます。図は自分で適当に作りました。面積比に意味はありません。

 

誰が言い出したのかは知らないけれど、私が聞いたのは杉山先生だったか松尾先生だったか?覚えていないけれど、リーズナブルだなあとよく使っています。

一方でエマちゃんが以前プレゼンで使っていたAIの射程は、主にアカデミア研究者にとってのAIと、社会(企業)が期待するAIを明確に切り分けて考えましょうというのが問題意識だと認識しています。AIといったときに、既存のICTの延長にあるもの、深層学習に焦点をあてたもの、汎用人工知能など「まだ見ぬ技術」の3点があるということ。

図は私が適当につくったので面積比や円の位置には意味はありません。ポイントは、オレンジの丸は今の技術の延長線上にあるものではないということ。隣接はしていて、いつか既存の技術からそっちへ移行するかもしれないが、その目処や具体的な道筋は明らかではなく実現には不確実性があるというもの。AI研究者と非AI研究者がAIについて話す時、同じAIといってもこれらがごっちゃになっていることがよくある気がします。

いろんな方たちと話していて体感的にですが、ブームで注目を浴び十分に人口に膾炙したAIですがそろそろ具体的な「成果」が求められてきているように感じます。開発投資をしているお金を出す側からね。AI導入はどう役に立ったのか、どう儲けたのか、どう便利になったのか、どういう価値が生み出されたのか、という具体的な「成果」が求められている。「期待」ではなく。AIというバズワードによるPR効果でもなく。

今年来年くらいに具体的な成果が出てこないと今の機械学習・深層学習を中心としたAIブームは一気にしぼむ(人とお金が逃げ出す)んじゃないかなあと思ってます。囲碁をするAIとかじゃなくて。投資するからにはちゃんと役に立って稼いでなんぼなので。

一方で、AIは自動化・自律化のためのツールでありその意義付けとしての効率化・最適化は常に変わらず必要なものなので、ブームのゆくえに踊らされず着実に地道に継続的に開発投資をする体力と辛抱強さがあるところが最終的には勝つんじゃないかなあと思っています。