人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、取材とか思ったこととかの備忘録

2018年まとめと2019年抱負

年が明けてしまったけれど2018年まとめ。1月に今の会社に転職し、医療関係者向けウェブメディアの編集(と記者)が本業になりました。医療AI(という言葉が私は嫌いなのだけど、「医療現場の課題解決をテクノロジーで解決する」という話だと思っています。要は医療でのIT活用や研究の話)の新しいメディアを立ち上げから編集・運用までやっているので、そちらにかかるエフォートが大きく試行錯誤の一年でした。

医療と(いわゆる)AIについてはここ2〜3年見ているのですが、2018年はプレイヤーが増えたという点でも大きく動きがあった1年でした。一方で技術以外での課題が大きく、そのあたりも含めて冬休み中にもう少しまとめたいなーまとめられたらいいなあ・・・。

ともかく以下、会社外での活動についてまとめます。

AIと倫理、社会

IEEE EADv2WS

いわゆるAIと倫理や社会を議論していくにあたって、現状を整理したいという目的で1〜3月に計6回のワークショップを開催し、レポートをまとめました。IEEEのグループが作成し2017年12月に公開した報告書Ethically Aligned Design(EAD) version2の項目を参照にして12人の講師に講演していただき、議論をしました。

IEEE “Ethically Aligned Design” Workshops in Japan - EADv2 Workshop

EADのversion1は2016年12月に公表されていますが、公表したものをたたき台にしてバージョンを更新し、version3を最終版として2019年に公開する予定です。なお、version1への意見インプットのために2017年にも数回のワークショップを行っています。今回はその流れからversion2の公開に際して企画しましたが、前回とは異なり、version2へのインプットではなくあくまでもEADをインデックスとして使い、現状の事実関係の整理をしたいというのが狙いでした。前回に続き、エマちゃんと企画して実施しています。

前回のversion1のときのワークショップ案内はこちら。

IEEE “Ethically Aligned Design” Workshops in Japan - Workshop In Japan

「情報法制研究」

上述のEADv2WSに関連して、情報法制学会誌「情報法制研究」に報告と考察をエマちゃんが寄稿していまして、以下から読むことができます。

http://alis.or.jp/img/issn2432-9649_vol4_p003.pdf?fbclid=IwAR025jMgqtkenJVUp4QVgyv70U_UCzaHD-uiZFSwnreWqUmQZUOLcgLMC-c

「ジャーナリズム」

AIと社会という観点では、朝日新聞の記者向け媒体「ジャーナリズム」7月号の「AIと社会」特集に「AIでどんな社会をつくりたいか 記者も当事者として議論に参加を」として寄稿させていただきました。

publications.asahi.com

研究者とSF

ディストピアWS

エマちゃんと2−3年前から続けている「ディストピア」の議論のひとつで、研究者など色んなステークホルダーの人たちが、「ディストピア」の社会について議論をするワークショップというものがあります。その3回目として、GWに1泊2日で「作家が研究者にインタビューしてディストピア作品を作るWS」をしました。

一日目にインタビュー、一晩たって次の日のお昼頃に作品を完成、講評というなかなか無理のある企画でしたが、3人の作家と演出家1人によって小説1作品、演劇シナリオ2作品が完成しました。

ディストピア企画」の趣旨は、2017年の人工知能学会全国大会でエマちゃんが発表しています。

jsai2017:4G2-OS-14b-3 人工知能と社会について考える場づくりの実践

なお、「ディストピア」という枠からは少し外れるのですが、研究者×SFという枠組みで引き続き勝手プロジェクトを進めています。アウトプットまでにはもう少し時間がかかりそうですが、ご協力してくださるたくさんの方たちのおかげで面白い企画になりそうで、がんばります。

安全保障とAI

人工知能学会倫理委員会

人工知能学会倫理委員会では、今年の全国大会では安全保障技術とAIに関するセッションを企画しました。

ai-elsi.org

安全保障技術とAIを巡っては倫理委員会では倫理綱領策定にあたり当初から議論に出ていましたが、倫理綱領に何らか言及して盛り込む議論をするには、安全保障についての我々の知識がないために理解が浅いという理由で見送られました。そこで、倫理綱領策定後もたびたび勉強会を開いてきたのですが、そうした中、国連ではLAWSの議論もあり注目が集まりました。そこで、海外の安全保障関連の情報提供として佐藤先生と南さんに講演していただきました。

開催報告は上記の倫理委員会のサイトにも載せていますが、ほぼ同じ内容を人工知能学会誌11月号にも載せています。

【会誌発行】人工知能学会誌 Vol. 33 No. 6 (2018/11) – 人工知能学会 (The Japanese Society for Artificial Intelligence)

なお3年続けた人工知能学会倫理委員ですが、任期ということでめでたく退任したんですが、安全保障とAI関連については、現状の整理をするという点でしばらく取り組んでいきます。クローズドでの勉強会を12月中に2回開催したのですが、年明けから春にかけてももう2−3回は続けていく予定です。

全体的に

2018年は新しいテクノロジー(AIなど)と社会との関連、境界面を見て整理していくという点でこれまでと同じように取り組んできました。一方で、本業の試行錯誤と取られるエフォートが大きく、課外活動が思うようにできなかったのが反省。もっとできたことはあったはず・・・。

2018年の大きな変化としてはこれまでテクノロジーと社会と言った時にステークホルダーとして主に研究者、行政、事業者を見てきたのですが、そこに作家、クリエイターとの関わりに積極的になってきた点。もちろん作家、クリエイターの重要性は以前から理解はしていたのですが、ハードルが高いという思い込みのためになかなか突っ込めていませんでした。ディストピア関連の企画などで関わることはあっても、一緒になにかに取り組むということには及び腰になっていました。研究者×SFの企画をやってみよう、これはできそう!と思って前へ進めるようになったのは大澤さんとの議論が大きいです。議論なのか大澤さんのキャラなのかはわかりませんが。

ということで2019年は引き続き新しいテクノロジーと社会との関連、境界面を見ていきつつ、ここ数年の目標である「定点観測ブイかつ船になる」もあり、当事者として企画を作っていきます。