テレプレゼンス人間に、コミュニケーションを代行する
遠隔地にいる人とのリアルタイムのコミュニケーションには、Skypeなどテレビ会議(顔が見える、主に音声でやりとり)や電話(音声でやりとり)、チャット(テキストでやりとり)を使う。チャットと比べるとSkypeでは、表情と音声でコミュニケーションがとれるが、身体はないので、相手はパソコンの画面の中の二次元の存在だ。
そこで、最近ではテレプレゼンスロボットを使った遠隔地とのコミュニケーションも使われつつある。ロボットをサロゲート(代理人)として遠隔地に置いてそこにいる人とコミュニケーションをとるのだ。
テレプレゼンスロボットはだいたい人と同じくらいの身長で、顔の部分がディスプレイになっている。車輪がついていて移動できるというタイプが多い。市販されており、イベントや研究室では
をよく見かける。会議や講演は十分にこなす。だが、このロボットで受ける印象は、実際の人とはほど遠い。昨日のサロゲートとして、実際の人間を使うという だ。テレプレゼンスロボットならぬ、テレプレゼンス人間か。
で三澤さんが紹介していたのが、仕組みは簡単で、サロゲートの人は、iPhoneをディスプレイとして使うタイプのHMDであるHacoscoを頭に装着する。Hacosucoの前面にiPadを取り付けると、まるでiPadのお面を被ったような状態になる。iPadに遠隔地の人の顔を表示する。サロゲートの人は、HacoscoのiPhoneの画面で目の前の状態を確認すると同時に、遠隔地のマスター側の人の指示を確認するというわけだ。
サロゲートになってみた。システムを頭に被って、マスター側の人の顔になってみた。その場にいた知人でライターの森山さん曰く「彼(マスター側の人)なら肩叩けるけど、叩けないからやっぱり違う」とのこと。サロゲートとマスターの性別や体格を合わせる必要はあるだろう。
さらに先に進み、サロゲートとして実際の人間をロボットで再現してしまう研究は大阪大教授の石黒先生がずっとされている。実際に講演では自分そっくりのロボットを使うこともあるという。だが、これには、数千万円から億単位の膨大なコストがかかる。
一方、三澤さんのテレプレゼンス人間なら、市販のプロダクトを組み合わせてできるうえ、身体はロボットではなく人間なので、動きも自然だし、より人間「らしい」。遠隔地での講演や学会発表などは簡単にこなせるだろう。
テクノロジーは発達しているが、結局のところまだまだロボットよりも人間がはるかに低コストで実用的だ。
未来はよ。