人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

ドローンって今どうなの?

 ドローンって今どうなの?と知り合いのビジネス誌編集者に聞かれて話したこと。

 ドローンがブレイク?したのは、昨春の官邸ドローン事件だ。その後メディアではドローンの報道が相次ぎ、トントン拍子で航空法改正にいたった。

 が、その一方で、ビジネスとしてどうなの?というところは、日経なんかはヤマトとかセコムとか千葉とかアマゾンとかバラバラとニュースにするけれど、全体感はわかりにくい。実態はないんじゃないかと思うほどに。

 ドローン、と今呼ばれているものは、軍事や海外での大規模農業向けのハイスペックなものは、これまでも市場はあった。ヤマハ発は農薬散布向けのドローン(というか電動ヘリ)では世界シェアトップだ。また、イスラエルなどでは国境警備向けに以前から活用されている。

 一方、DJIなどのここ数年注目されているドローンは、主にトイ用途だ。これらは中国、台湾、シンガポールなどのベンチャーが強い。トイ用途の市場はそもそも小さいので、後発の日本企業には参入するまでもない。

 となると、期待されるのは軍事などのハイスペックと、トイの中間だ。当然ここの市場規模がもっとも大きい。セコムなどがやっている警備、長野県警などかやっている実地調査、アマゾンなどの宅配、他にも測量、農業など期待されているアプリケーションは幅広い。

 が、キラーアプリとなるサービスは、まだない。そのため大企業が本腰を入れて入ってきていない。

 技術的な課題よりも、ビジネスとして成立するかが大きい。さらに法規制の問題もある。とりあえず急場をしのぐために作った改正航空法があるとはいえ、サービスに対しては環境が整っていない。

 イノベーションという文脈でアメリカがよく引き合いにだされるが、アメリカでは法規制がまだなければとりあえずまずやってみる、という風土がある。一方日本では、法規制がないとそもそもできないと、と多くは考える。これまでサービスがない新しい領域を開拓するのにこれまでの法規制に則ってイノベーションが起こせるわけがないのだが、どういうわけか日本人はこれまでの慣習を律儀に守っている。

 ということで、今ドローンの記事を書くなら、海外行って取材しないとおもしろくないよね、という話。ドローンに限らないのだけれども。