人間とテクノロジー

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DCEXPOでVRを体験する

今年もデジタルコンテンツエキスポ(DCEXPO)が昨日から3日間開催されています。

経産省などが主催するDCEXPOは、イベントや展示会が多い秋でも終盤に開催されますが、CEATECなど他のビジネス系イベントと比べるとゆるめで比較的来客が少ないため、ここ1年位のさまざまなイベントで体験しそこねたコンテンツを体験できる機会だと勝手にとらえています。

で、今年はどのイベントにいっても展示手法としてどこでも見かけるVRですが、ビジネスでもアカデミックともに新しいVRを体験できるのもDCEXPOの特徴かと思っています。

DCEXPO出展選抜の審査にVR系の人が多かったり、国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト(IVRC)の決勝戦が同時開催されたりと、もともとアカデミックのVR系コンテンツはDCEXPOでは多いですが、今年は去年に引き続きさらに増えた。あっちこっちでヘッドマウントディスプレイ(HMD)をかぶって体験するコンテンツで溢れています。

ということで、初日の昨日行ってきました。

今年はこれは体験したいと思って行ったのが、NHKの「8K:VRライド」。去年良かったのが、NHKの「8K:VR」というコンテンツで、これは8Kディスプレイを使ってHMDを使わずにリアリティの高い映像体験をするというもの。今年はさらに4D機能も追加された「8K:VRライド」というコンテンツになっていました。

展示は7階へ。

半球形ディスプレイに8Kプロジェクターで映像を投影し、椅子の部分は可動式でコンテンツに応じて動きます。コンテンツ連動ではないですが、正面から常に風が拭いてきています。映画館の4Dで画面が半球型になっているという感じ。視野全体にディスプレイが入るので、HMDではなくても高い没入感が得られます。

コンテンツは、東京を瞬間移動したり上空に飛び上がったりして、縦横無尽に行き来するというもの。上空に上がったり降下したりするときには、HMDかぶった時に感じるような、あたかも実際に上下しているかのような体性感覚がありました。実際に椅子ががたがたと動きので、その効果もありますが、視野全体に入る半球面ディスプレイの視覚効果も大きいと思います。

ただ8Kといっても、通常の8Kディスプレイで見る解像度だと思っていると、少しがっかりするかもしれません。もっと解像度は落ちて見えます。

それとやはり物理的にガタガタ身体を動かされるのは、不快感が伴うなあと。。臨場感ではあるんだけれど、たぶん、外部の力によって身体を動かされるということ自体が、人間にとっては避けられない不快な感覚なんだと思う。

そういう点で、いつもおもしろいなあと思っているのが東大の廣瀬・谷川・鳴海研究室の鳴海さんたちがつくるVR体験で、外部から無理やりではないやりかたで、臨場感というか新しい体験を作り出す。

同じ7階で、無限階段VRの出展がありました。

 単純に床にアルミパイプが置いてあるだけで、その上をHMDを付けてあるくことで、階段を昇り降りしている感覚が得られます。

整理券配布で体験できます。他の展示が1Fに集まっていて7Fはわかりにくいですが、まず7Fへぜひ。

メインの会場は1F。

ずっと体験したいと思って今回初体験だったのが的場やすしさんの「流動床インターフェイス」。

ただの砂場に下から空気を送り込むことで、砂をあたかも流体ようにするというもの。砂が敷き詰まっていますが、スイッチをオンにして空気を送り込むことで、このボールがずぶずぶと沈み込んでいきます。

DCEXPOは大学などアカデミックの展示も多く、VRブームでビジネスや開発よりの人たちが増えている中、研究としての(いい意味で)変態的な技術も多く楽しめます。そのひとつが「バーチャルな加速感覚を付加する高臨場感VRヘッドセット」。阪大・安藤さん、明治大・青山さんたちによるもの。安藤さんたちは前庭電気刺激(GVS)によって、人の動きをコントロールするという研究をずっとされていますが、今回は、GVS専用のVRヘッドセットになっていました。

おでこの両側と耳の裏側を拭いてから、ヘッドセットとイヤーマフのような装置を装着します。

普通のヘッドセットに電極を付けた手作り感が溢れますが、ヘッドセットを被るだけで電極を当てられるのは便利。

コンテンツはVRでよくあるジェットコースターでしたが、これは普通に視覚だけのVRだとまず酔います。そこにGVSを加えることで加速度を感じる感覚を制御して、酔いを減らす、というのがおそらく研究の狙いなのだと思います、、、が最初にGVSなしでコンテンツを体験してさんざん酔い、そのあとにGVSありで同じコンテンツを体験するというのは普通に辛かったので、2度目で酔いが低減したような気もしますが、すでに酔っていたから。。。

 

球体の中にはいってHMDかぶって体験するコンテンツ。やりたかった・・・。

自動で折りたたみをしてくれるセブンドリーマーズも出展していました。

メガネスーパーウェアラブルバイスを出展していました。社内で開発をして、分社化してB向けに来年から量産に入るとのこと。

シースルー型ではなく、ふつうのメガネに小さなディスプレイを取り付けるといった、手元にあるスマホをメガネに装着するような感覚です。普段使いにはまだまだですが、工場などで手作業をしながらディスプレイに指示書を出す、といった用途を想定しているそう。

超音波ディスプレイで知られる東大の篠田研からは、超音波を使って、狙った場所ににおいを届ける匂いディスプレイが出展されていました。

煙のように見えるのは、においが含まれた蒸気で、左からコーヒー、ミント、グレープ。奥に超音波を発生する装置が並んでおり、手前に座っていると、コーヒーの匂いだけをかぐようにしたり、ミントだけの匂いだけをかぐようにしたり、という切り替えができます。

地味にすごいなと思ったのが首都大の池井先生の研究室が出展していた、THETA2台を動かすことで、自身の分身のようにするテレイグジスタンスシステム。

画面左下にTHETA2台が台の上に載っていますが、HMDのを着けている私の視界はこのTHEATAに映る様子がリアルタイムで反映されます。首を振ってHMDを動かすと、TEHTAが載っている台が同期して動きます。

意外と簡単なシステムでテレイグジスタンスができていいなあと。

通り道に、ユニコーンガンダムもいました。

DCEXPOは明日まで。無料。