人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

ブラックペアンと多体問題

「ブラックペアン観てる?あれはいいよ、観てみなさい」

ずっと借りていたガンダムのDVDとブルーレイを返しに某研究室に寄ったら、たまたま某先生が在室されていたので、ご挨拶に伺ったら、ブラックペアンを薦められた。医療関係者界隈では話題になっているが、もともとテレビを観る習慣がない私は当然観ていない。

某先生曰く、ブラックペアンでは、「科学的な知見」派の小泉孝太郎さん演じる医師と、「職人技暗黙知」派の二宮和也さん演じる医師の対比がある一方で、どちらかが正義ということではなく、それぞれがそれぞれの正義に基づいているという構図が描かれているのだという。

医療の向上のための新技術の導入と、レガシーなシステムに支配された人間。医療現場は常にこうした矛盾したシステムを抱えている。ブラックペアンでは、技術の導入に際して、そこに人間たちがどう向き合っていくか、参考になるということだった。

医療ドラマは(あんまり観ないけど)、白い巨塔の医局を支配する医師VSはぐれもの医師といった、二項対立で描かれるものが多い。二項対立はドラマとしては面白いが、人間社会の本質とは程遠い。

人間社会は複雑系であり、二項対立というよりは多体問題とどう向き合うか、というのが大きな問だ。ところでガンダムを借りたのは、「ガンダムには人生のすべてが含まれている。ファーストでは二項対立だが、ゼータでは三体問題が描かれる」と言われたからで、某先生のブラックペアンでの着目点とも近く、膝を打った。

ブラックペアン、今日なので夜観てみます。