人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「その人がどう考えどう感じるか」患者の主観評価へ、という中島先生の話と、人とテクノロジーにおける主体感について

先日のシンポジウムで興味深かったのが、医療現場で今、患者の主観にもとづいた治療評価がトレンドとなっているという、国立病院機構新潟病院副院長の中島孝先生の話だった。 「臨床評価を、患者の主観に基づいた評価にしていこうとしています。医療における…

バーチャルリアリティ(VR)ってなんだ?

バーチャルリアリティ(VR)の市場が立ち上がりつつあり、今年はVR元年とも言われる。Oculus、サムスンのGear VR、プレイステーションVRといったコンシューマー向けのヘッドマウントディスプレイ(HMD)が登場し、ベンチャー企業を中心としてアプリ開発やコ…

悲しいから泣くのではなく、涙が出ると人は悲しくなる?

悲しいから泣くのか?泣くから悲しいのか?感情が先に生まれるのか、身体の変化が先に起こるのか、これまでの研究から、多くの心理学者や生理学者は「泣くから悲しい」と考えている。 東京大学大学院の吉田さんは、涙が流れるメガネをつくって実験をした。メ…

テクノロジーが好きなのに、HMDもウェアラブルも苦手で辛い

新しいテクノロジーが好きだ。なんでもまず体験する。作っている人の話を聞く。最近はVRブームもあり、HMDやウェアラブル端末を使ったアプリケーションが多い。だから試す。HMDをかぶる。ヘッドフォンをつける。ウェアラブル端末を身に着ける。 HMDは、映像…

人工知能とエマちゃんのこと

友達のエマちゃんのことを(勝手に)書く。エマちゃんはいわゆる文系の博士で研究者だが、人工知能に詳しい。というかよく人工知能研究者と一緒に仕事をしている。不思議なポジションにいる。 エマちゃんは文系も理系も領域を超えていろんな研究者を巻き込ん…

Boston Dynamicsの新型Atlasがすごい

Googleに買収されたBoston Dynamicsが公開したヒューマノイドロボットAtlasの最新動画がすごい。 Atlas, The Next Generation 新型Atlasは身長175cm、体重81kg。動画では、雪が積もった山道を歩いたり、突き飛ばされて倒れた状態から自力で起き上がったりし…

何でもかんでも“人工知能”って呼ばない。

触覚研究者の渡邊淳司さんが2014年に出した本が毎日出版文化賞を受賞して、その祝賀会が先日あった。そのときに淳司さんにもらったのがこのステッカー。 「何でもかんでも人工知能って言わない」 人工知能ブームだ。 人工知能研究の歴史は長い。人工知能実現…

「細胞」はアートかサイエンスか?

山中研の展示「ELEGANT CELL展」を見てきた。細胞を使ったものづくりの研究をしている竹内研とコラボして、会場でバイオの実験室を再現しただけでなく、細胞を使った作品が並んでいた。 個人的には獣医学部の学生だったころに細胞培養をして扱っていたので、…

触覚は見た目で騙される、NTTの「ぶるなび」

VR

巨大通信会社のNTTの研究所は、ビジネス寄りの通信技術の開発から、基礎研究まで幅広く手がける。すぐに実用化するわけではない研究も活発に手がけるその様子はまるで大学さながらだ。いや、その「研究者の楽園」ぶりは、もしかしたら大学改革や競争的資金の…

ヒューマノイドロボットは電気羊の夢を見るか

経産省系のファンディング事業を行っている新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の担当者は言う。 「ヒューマノイドロボットは災害時に活躍します。災害現場や建物の中は、人に適した作りになっているから、ヒューマノイドロボットならば、人に代わっ…

ITで社会経済構造が変わる20年後の働き方を検討する厚労省の会議がおもしろい

1月末から始まった、20年後の働き方に向けた検討会「働き方の未来2035」がおもしろい。14人の外部有識者メンバーが議論を重ね今夏までに、IoTや人工知能(AI)など情報技術の発展による社会経済構造の変化に合うように、労働法改正を視野に入れた政策提言を…

NTTとパナソニックの透けるディスプレイ付きAR端末

スマートフォンよりやや大きいサイズの透けるディスプレイ付きの専用端末を、NTTとパナソニックが開発した。端末のカメラで風景を撮影すると、そこに写っている建築物などを画像認識して、透けるディスプレイ上に建物の名前と言った情報を表示する。ディスプ…

プレステVR用ゲームで、触感のあるスーツを体験する

ゲームの中の世界は、あたかも現実のものであるかのような体験を再現する。たとえば、2001年に発売されたプレイステーション2、ドリームキャスト用ゲームソフトRez。スイスの電子音楽フェスやアフリカの音楽といった自身の経験をもとに、実際の体験として感…

シャノン界面とウィーナー界面で、人と機械の関係を考える

人間拡張工学を提案していると東大教授の稲見先生は、人と機械の関係を、情報世界と物理世界を分ける「シャノン界面」と制御できるものとできないもので分ける「ウィーナー界面」で、四象限に分類して考えられるのではないかと言う。 人と機械の関係を考える…

Apple ResearchKitと医療現場のIT利用

Appleが昨年3月に公開したResearchKitは、臨床研究に必要な個人のデータを、iPhoneを使って簡単に収集できる医学研究向けアプリ開発のフレームワークだ。 このたび、順天堂大学はパーキンソン病、喘息、ロコモティブ症候群の臨床研究向けのiPhoneアプリを開…

テクノロジーは、人間と世界の間を媒介するメディア

テクノロジーは自己と環境との間のメディア(媒介)、インターフェイスだと、哲学者の久木田水夫さんは言う。人間は、テクノロジーを介して世界を知覚、認知、解釈し、テクノロジーを介して世界に働きかける。 久木田さんは昨年、「生まれながらのサイボーグ…