人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

勉強会と人狼会

先日KOMADで勉強会と人狼会をやりました。勉強会は、エマちゃんが先月出張してきたIEEE-SEASの報告会。

IEEE “Ethically Aligned Design, Version 1” Workshops in Japan - A report on Attending The IEEE SEAS Conference

その後、人狼会をやりました。人狼会というのは、ただ人狼をする会です。

先々月の人工知能学会全国大会でとりとりさんに人狼をやりたい、と言ったところ、じゃあ企画してとなり、企画をしました。去年、謎研究会のあとの懇親会で人狼をする会を2回ほどしまして、ただうるさすぎてお店に迷惑がかけるという難点から、飲み会じゃなくて、ちゃんと人狼だけをやる会をやろう、となったのでした。

人狼知能の方たちを中心に情報系研究者、それと人狼好き法学クラスタの皆様10数人が集まりました。それとKOMADにいた学生さん捕まえて。

せっかくおもしろい友人たちが集まるなら、ということで最初にそれぞれ10分ずつくらいとりとりさん、おおさわさん、ひでまんさんに話題提供をしてもらいました。人狼と研究について。

その後人狼。たのしかった!感想戦もおもしろかったです。

次は法クラ人狼会にお邪魔することにしました。

 

 

半歩先

一歩先や二歩先ではだめなんだよね。半歩先じゃないと。

ジャーナリストである友人が言ったそのひとことについて考えている。

彼女が言うのは、多くの人の共感を得て、人を、社会を動かしていく。そのためには、今目先のことではもう遅い、一歩先や二歩先では早すぎる、現状から半歩先くらいのアジェンダを書く、という話だ。

現状から半歩先を書くというのは、今はまだ言語化されてはいなくても多くの人がもやもやと感じていること、それを言語化して可視化していくということだ。1−2年後くらいにはそのことについて多くの人が関心を持って議論している、それを今書く。そうしてアジェンダ形成に関わっていく。

半歩先、というのが重要だ。一歩先でも二歩先でも共感を得ない。5年の、10年後に確実にそれが問題になると言っても、多くの人の共感を得ない。

科学技術の話を書く時の難しさはそこで、1〜2年後の社会に影響を与える科学技術というのは、すでに開発段階で社会実装されているものだ。それはすでにプロダクトでありサービスであり、研究の段階ではない。科学技術の話を書くのは未来の話。そこに当事者意識を持って共感を得るのは難しいが、その中で半歩先になりうる切り口を探す。

半歩先を書く。そうしてアジェンダ形成につなげる。メディアとしてはそれは重要なこと。ただし、科学技術の研究そのものは、必ずしもそこを見てはいけないのだと思う。

味覚の麻婆豆腐

ランチに新橋の味覚へ。激辛麻婆豆腐が食べたくてずっと行ってみたかったが機会がなく、新橋を通りかかった時にお昼だったのでひとりでふらりと地下の店舗へ。

激辛を頼もうとしたら、「残したら500円追加料金だよ」と言われて、中辛にしました。日和りました。

熱々で辛かったけれど、とろみちゃん(片栗粉)的なトロトロ感が過多なのと、中国山椒の効きが悪く、いまいち。

川国志の激辛中国山椒たっぷり麻婆豆腐に舌が慣れてしまったので、あの刺激を求めてしまうんだなあ。。。

第1回AI・人工知能EXPOに行ってきました

いろいろな意味で話題の第1回AI・人工知能EXPOに行ってきました。AI・人工知能って人工知能人工知能かよ。第何回まで続くんでしょうか。とりあえず来年のブースはほぼ完売していたようなので第2回はあるみたいです。もちろんコンシューマ向けではなく、商談のための展示会です。

とりあえず大混雑で、身動きをとるのが大変でした。混雑した場所が苦手なので吐きそうになりました。

AI・人工知能といっても、そもそも今の人工知能ブームの本質といっていいディープラーニングについての出展よりも、チャットボット系が目立っていました。何でもかんでも人工知能と名付け、そこに大量のビジネスマンがむらがる様にブームを感じとることができました。まあそれだけでも行ってよかったかな。

一方で、併設していたコンテンツ東京では、AR/VRの出展が目立っていました。HMDなどのデバイスはだいたい出揃っているので、あとはコンテンツやアプリケーションです。デバイスではパナソニックHMDを出展していたのが興味がありましたが、体験が長蛇の列で断念。

東京五輪ビッグサイトが使えなくなることの弊害を憂うかもめから。

 

「信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体」(平和博、朝日新書)

 

信じてはいけない 民主主義を壊すフェイクニュースの正体 (朝日新書)
 

 昨年の米大統領選挙で問題となったフェイクニュース。朝日新聞記者の平さんは、個人ブログ「新聞紙学的」で、米大統領選をめぐるフェイクニュースの現状、それに関連した国内外の動きを追っていた。それらをまとめた大幅に加筆したのが本書だ。

kaztaira.wordpress.com

主にアメリカにおけるフェイクニュースの現状とその背景、それらに対する対応といった今知っておくべきことがまとまっている。日本の報道ではなかなかわかりづらい、アメリカを中心とする海外の動向が詳しい。

フェイクニュースが政治や社会を動かすほどに存在感を増す背景にあるひとつが、インターネットというインフラだ。だが、こうした問題は何も今突然出てきたわけではない。

本書でもたびたび引用されるが、アメリカの政治学者、キャス・サンスティーンは、2001年の著書「インターネットは民主主義の敵か」で、メディア空間の分断と、真偽不明な情報の氾濫の影響をすでに指摘している。

「インターネットの父」ティム・バーナーズ=リーは今年3月に来日して行った講演で、分散型から中央集約型になりつつあるネットの現状において、合わせて個人情報の扱い、フェイクニュースへの懸念を示したが、10年以上前から警鐘を鳴らしてきたという。

今後克服していくためにも、まずは現状把握が必要であり、本書はその大きな助けになる。

 

人工知能と安全保障技術研究ーその議論の素地を作っていく

日本では安全保障に関連する技術の研究や開発ー「軍事研究」と呼ばれることもあるーについて、イデオロギーなしでフラットに議論ができないものか、っていうか議論したいということを前に書きました。

kaetn.hatenablog.com

同じように感じている人は私の周りの研究者やメディア関係者にはちらほらいて、そういう人たちとよく一緒に議論をしています。

こういうことを言っていると、あなたは記者なんだからあなたが書けばいいと、よく言われます。

それについては、前に弊誌でも書いたけれど、そもそも議論がないので、取材ができないという問題があります。議論があるところはイデオロギー論争をしている。私が知りたいのは、実際に手と頭を動かしている、工学系や情報系の研究者がどう考え、具体的にどうしているか、今後どうしていくかです。

dot.asahi.com

議論がないから取材ができない。取材ができないと記事が書けない。そうするとますます議論にならない。

ならば、ないなら作ればいい。と、工学系や情報系の研究者の人たちと議論の場のための素地をつくろうと、ここのところ畑を耕しています。工学系や情報系の研究者の方たちと、安全保障技術をめぐる国内外の現状について、クローズドで勉強会をするとか、議論をするとか。

少しずつ種も蒔いています。

そのひとつが、先月の人工知能学会全国大会での倫理委員会の公開討論です。エマちゃんと2人で企画したこの公開討論で、AWS(Autonomous Weapon Systems)の議論をすることを念頭に置きました。

なお、公開討論のレポートは↓

ai-elsi.org

これに関連して、日経コンピュータの浅川さんが先日、以下の記事を書かれました。

itpro.nikkeibp.co.jp

倫理委員会の公開討論のほかに、中で出てくるIEEEのワークショップもまたエマちゃんと一緒に企画と運営をしたものです。ちなみに、浅川さんはワークショップにも来ていただいてありがたい。

ワークショップの詳細はこちら。このワークショップは、倫理に配慮した人工知能の設計についてのIEEEのレポートへのインプットのための意見抽出が目的でしたが、8項目のうちもっとも議論になったのが、AWSの項目でした。なお、このページの一番下にはレポートもあります。

IEEE “Ethically Aligned Design, Version 1” Workshops in Japan - Workshop In Japan

こうやって少しずつでも議論の素地を作っていければなあと思っています。

最良の友は犬か猫か

先週の大特集は、犬と猫の特集でした。冒頭のトップストーリーと匿名座談会のページを担当して、記事はウェブでも公開されています。

dot.asahi.com

dot.asahi.com

犬か猫か論争はきのこたけのこ戦争並に永遠に噛み合わない論争なので、どちらかの陣営に与することはよろしくないと思いつつも、私は断然犬派です。正確に言えばレオナルド派。実家で飼っていた今は亡きゴールデン・レトリバーのレオナルドが一番なのです。犬とか猫とか犬種とか以前に、レオナルド。

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とてもかしこい子でした。

 

 

辛いもの

また川国志。取材の後に。

情報系研究者は、四川好きが多い。取材のあと、打ち合わせのあと、イベントの懇親会、普通に飲み会・・・。何かにつけて四川を食べに行くのに付いていきます。辛いの好き。

もともと辛いもの好きだったのが幸いして、すっかり中毒。

ただし、世の中には2種類の人間がいる。四川が好きな人と、四川がダメな人だ。エマちゃんは残念なことに四川がダメなのだ。これだけはとても残念です。

社会や経済にとって重要な意志決定の場、または重要な情報共有の場には、若者も女性もいない

特集のために久しぶりに企業取材をしていて、ある会社の株主総会に取材で行ってきました。報道関係者は会場には入れませんが、別室で中継を見ます。最近どこで何の取材をしていても気になることが、ここでも気になったこと。

スーツのおじさん、おじいさんたちしかいない。見渡す限りスーツのおじさん、おじいさん。

会場入口から入っていく株主の人たち、報道関係者の部屋にいる記者たち・・・。ほとんどがスーツのおじさん、おじいさん。

普段、科学技術関連の取材にいく役所の会議やイベントでも、ほとんどがスーツのおじさん、おじいさん。報道する側の記者も同様だ。そういう場にいるのは、男性ベテラン記者が、多い。

つまり、社会や経済にとって重要な意志決定の場、または重要な情報共有の場には、若者も女性もいないのだ。おっさん、おじいさんばっかり。

そんなことは国会中継を見ていれば誰でも知っていることです。でも、そこだけじゃない。この日本では、特に重要な意志決定や情報共有を伴う場は、隅から隅まで、男性で占められている、特に高齢男性によって。

 私は女性で、多分まだ若手に入る部類。だから、そういう場にいるとものすごく違和感を感じるけれど、一方でつい最近まではそういうものだって慣れてしまっていた。疑問を持たなかった。でも、社会や経済について重要な意志決定や情報共有を伴う場がおじさんとおじいさんたちにほとんど占められているって、異常なんじゃないのかと、昨今の沈みゆく日本を観察していて、思う。彼らは未来に責任を持たないよ。

 

 

人間をアップデートする

先週、URFCのシンポジウムで稲見先生の講演があるというので、行ってきました。人間拡張工学についての研究の話。

スーパーヒューマンとかネクストヒューマンとかHomo deusとか、言い方はいろいろあるかもしれませんが、テクノロジーによって人間をアップデートするという考え方が好きです。

恣意的にこうやって変えようとしなくても、人間はどんどん変わっているものです。身体においても精神においても。それならば、自身であろうと他者であろうと誰かの意図によって恣意的に変えられるのかしら、というのに興味があります。

もっとも人間の変化には必ずしもテクノロジーが関わる必要もありません。肉体改造は筋トレをすればいいわけだしね。

でも一方で、テクノロジーが関与して、精神、こころの部分がどのように変わっていくのか、変えていけるのか、もっというと設計できるのか、興味があります。

これは行き過ぎると、人間の意識、こころの部分をあたかも機械のように扱うということになるので、人間の尊厳という点で議論がある部分だと思います。でも、そういう議論も含めて、私は好きです。

早稲田のカフェ

久しぶりに早稲田へ行きました。取材で。

https://www.instagram.com/p/BVZlKDjB_YSrareAmYFcremncG2ZKv_FcHgbL40/

アポとアポの間にケーキとコーヒー昔時々来ていたカフェ

アポとアポの間に時間があいたので、数年前に早稲田大で働いていたことがあり、その時に時々来ていたカフェへ行きました。ケーキとコーヒーおいしかった。

こくわがた

本郷でお昼を食べるとなると、よく行くのがこくわがた。立ち食いうどん屋さん。さくっと美味しく食べられるのが好き。ピーク時は並ぶので、ピークをずらしていきます。

きまぐれこくわちゃん。いつも小なのを並にしたらおなかがぱんぱん。

SCHAFTがGoogleからソフトバンクに買収される

ツイッターを見ていたら、ソフトバンクがAlphabet(Googleの親会社)から、ボストン・ダイナミクスを買収するというニュースが流れてきた。

ソフトバンク、Boston Dynamics の買収に合意 ~スマートロボティクス技術の開発促進へ向けたコラボレーションへ~

もしや、と思って読み進めると、SCHAFTも買収するとある。やったー!!わーい!!

と朝から興奮。

SCHAFTとボストン・ダイナミクスDARPA Robotics Challenge(DRC)出場を控えた2013年末、Googleに買収されたことが発表されました。

その一年ほど前からSCHAFTを取材していた私は、なぬー!聞いてない!!!となって、これは中西さん(SCHAFTのCEO)に聞きに行かないと!!と速攻航空券を取り、その2週間後DRCが開かれているマイアミへ行きました。(仕事じゃなくても行くつもりだったけど、結果的にいくつかの媒体に記事を書きました)

wired.jp

 

wedge.ismedia.jp

 

買収後はGoogleの方針で、SCHAFTの取材は一切できなくなりました。

買収前にSCHAFTを取材していたのは、SCHAFTの出身研究室のボスの先生からの紹介が発端でした。2012年末、何かのシンポジウムの後の懇親会で、「すごくおもしろことをやっている若者たちがいるんだ」とものすごく楽しそうな顔をして先生はおっしゃいました。ロボットを作りたいとベンチャーを作ったこと、そのベンチャーとしてDRCに出場するということ、(先生のみたてでは)絶対に優勝するということ。

おもしろいー!と、DRCへの出場、優勝までを継続的に取材をして書きたいと先生に言うと、それはいいね、ということで、SCHAFTを紹介してもらいました。ひょんなところからその後半年間くらい、彼らと同じ建物の中で仕事をすることになり、私は仕事をさぼっては、彼らの所によく遊びに行っていました。取材と称して。

というところで、Googleに買収されて取材が継続できなかったので、なぬー!となったわけです。DRCの予選で彼らが優勝する様子を見届けて、まあしょうがないやと思いましたが。(本戦はGoogleの方針で出場しなかった)

そこで、トヨタ(TRI)がSCHAFTを買収するという話が出た時には、おお、これでまた彼らを取材できる!とほくそ笑みました。TRIにはDRC関連で彼らと馴染みが深いギル・プラットやジェームズ・カフナーがいるので、有り得そうな選択肢だな。と思ったのです。またGoogleで彼らを買収したアンディ・ルービンはすでにGoogleを去り、自身のVCを設立していました。が、交渉が頓挫しているという話を聞けばやきもきしていました。

というところでのソフトバンクです。ソフトバンクは取材できるといいな〜。今となっては、自分はGoogle買収前のSCHAFTについてかなりよく知る記者だと思う。