テレイグジスタンス型ヒューマノイドロボットが楽しい

今年はテレイグジスタンス型ヒューマノイドロボットをたくさん見かけた年でした。テレイグジスタンスというのは舘先生が30年位前に提唱された概念ですが、離れた場所にいる人(マスター)と同じ動きを、ロボット(スレーブ)が再現するというロボットの操縦方法です。これまでは大学の研究が多かったのが、最近は企業の出展で多く見かけます。

テレイグは、国際ロボット展でお披露目されたトヨタのT-HR3がわかりやすいです。

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左にいる操縦者と同じ動きを右側のヒューマノイドロボットがしています。操縦者は座っていますが、その場で足踏みをすることで、ヒューマノイドの歩行操作もできるそう。

ところで操縦者の技術者の方は高身長なのですがヒューマノイドは150センチメートルと身長も体格も異なります。操縦しているとロボットに乗り移ったような感覚になり、身長や体格が異なっても、ロボットに合わせた感覚になると言うのが印象的でした。稲見先生や鳴海さんがおっしゃる身体自在化やゴーストエンジニアリングって、VRもだけれどテレイグが最もわかりやすいかもしれない。

なおこのロボット、テレイグもおもしろいんですが、ヒューマノイドとして素晴らしくて、関節の動きの滑らかさがこれまで見てきたヒューマノイドから飛び抜けていました。ヒューマノイドのデモを見て久しぶりに感動しました。やっぱりトヨタすごい。

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動きがしなやかだしバランスもいい。この動画の操縦はテレイグではなくプログラム操作。

テレイグはSFではおなじみですが、ロボットの操作方法として直感的にできることから、初心者にも操作しやすく実用性が高いのだと思います。が、これまでは技術的ハードルが高かったのが、最近では汎用品の組み合わせでもマスター/スレーブによるテレイグジスタンスが実現しつつあるということなのだと思います。

こちらはTHKのロボットをテレイグで操作しているデモで、国際ロボット展でのものです。

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このTHKのロボット本体などを使ったテレイグロボットは、先月のdocomoの5Gを使った展示会でも出展していました。

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新日鐵住金ソリューションズの出展で、本体はTHK、手は電通大ベンチャーのメルティンMMI、マスター側の触覚フィードバックは慶應大の南澤さんのところなど、ハードは汎用のものを組み合わせ、システムは内製しゼロから3ヶ月で作ったそうです。Slerすごい。デモされている方始めこれを作られてたエンジニアの方たちがすごく楽しそうだったのが印象的。

もちろん、舘先生の本家テレイグも今年も話題になりました。これまで大学でやっていたのをKDDIなどの支援で会社化。

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パシフィック・リム」でのイェーガーの操作方法もマスター/スレーブ型になるんじゃないのかなあ。パイロットと同じ動きをイェーガーがする。パシフィック・リム好きでした。

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SFなどからテレイグジスタンスなどのロボット操縦方法については、舘研出身の大山さんの論文が詳しいです。

「SFと科学技術におけるテレイグジスタンス型ロボット操縦システムの歴史」(大山英明、前田太郎、舘暲)

「エンタテイメント作品におけるロボットの操縦方法」(大山英明、阪口健)