人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

ツールを使うことによる人の変化を設計する

Googleホームとかamazonエコーとかを使い出すと、機械が認識しやすいように話すようになる。Google翻訳を多用する友人は、Google翻訳が翻訳しやすいように日本語を書くようになると言っていた。

音声認識も自動翻訳も、便利なツールだ。でも、ツールは融通がきかない。プログラムで決められたこと以外のことはできない。音声認識も自動翻訳も、最近になってやっと精度がよくなってきたから実用レベルになってきたとはいっても、プログラムに決められたこと以外ができないのは相変わらずだ。だから、機械が認識しやすいように、人間側が行動を機械に合わせて最適化するようになる、というのは別に最近に限ったことじゃなくて機械といったツールを使うようになってから人類がずっと通ってきたことだ。

人が自分にとって便利にするために道具を生み出すが、その道具を使いこなすためには人はその道具に合うように自身の行動を変化させ道具に最適化する必要がある。程度の差はあれど、これは変わらない。

ITは人が使うツールだけれど、使ううちに人そのものが変わっていく。行動が変わる。行動が変わることで、身体が変わる。考え方や認知、認識、思考、感じ方も変わるかもしれない。

ツールを使ううちに人が変わる。でも通常は、ツールそのものの目的は設計されるけれど、副次的な、ツールを使うことによる人の変化までは設計されていない。

一方で最近は心理学、認知科学行動経済学での知見も増えてきて、またその共有も進み、ツールを設計する側にもこれらの知見を積極的に活用していこうというのが広まっている。そこで、ツールを使うことによる、人の変化も設計する、という向きも少しずつ出てきている。

こわい?でも、意図してもしなくても、ツールの利用によって人は変わる。どこまで設計できるのかは未知だけれど、望むとも望まぬとも、そちらの方向へ向かっていくんだと思っている。

そういうことに関心を持ったのは、数年前からこういった研究をしている研究者の話を聞いていたから。正確にはもやもやと感じていたことを、研究者の言葉によって言語化されて、ああそういうことだったのか、と腑に落ちた。だから、ひとつひとつの研究じゃなくて、ストーリー全体を見せたいなあと、結構長いインタビュー記事を2年以上前に書いた。

ただそれから2年以上経っても、ちゃんと体系化はされていない、ように思う。もやもやするんだよなー。もう少しこのあたり整理したい。