人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

2016-01-01から1年間の記事一覧

人工知能(AI)とバーチャルリアリティ(VR)の関係

AIが流行っている。VRも流行っている。少なくとも、情報系の業界内では。でもこの両者、関係ないそれぞれ独立のテクノロジーと独立の文脈での流行りのように見えるけれど、実は大きく関連しているみたいだ。 AIはコンピュータが人の知能のような振る舞いをす…

動きまわって周りに触れられるかのようなViveがすごい

AI VR

今年はVR元年と言われるだけあり、VRのヘッドマウントディスプレイ(HMD)が各社から発売されているほか、色々なイベントなどで体験する機会が多い。先日、小倉で開催された人工知能学会全国大会の企業展示で、(なぜか)HTC Viveがあったので体験してきた。…

「パナマ文書」を取材し、報道した意義とデータジャーナリズム

先日、早稲田大学で開催された「『パナマ文書』はこうして取材・報道した」というイベントに行ってきた。パナマ文書を分析した非営利組織のICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)で日本を担当した在米フリー記者のシッラ・アレッチさん、ICIJと協力して取…

世界の見方が変わるVR

VRが流行っている、と言われている。VRの体験と言うと、ヘッドマウントディスプレイ(HMD、最近ではVRヘッドセットとか単にVRとか呼ばれているみたいだけれど)を被って体験する、現実にあるものを映像で再現するという体験を指すことが多い。 VRでおもしろ…

4DのVRジェットコースターで酔った

丸の内KITTEの1FのGaraxy特設ブースで、VRヘッドマウントディスプレイのGear VRを使ったVR体験が6月8日まで無料で体験できる。行ってきた。 体験できるコンテンツは、可動式シート(いわゆる4D)を使ったジェットコースター体験と、可動式のボードに乗っ…

自閉症スペクトラムの視覚世界を体験するVR

自閉症スペクトラム(ASD、広汎性発達障害)は発達障害の一種で、対人交流とコミュニケーションが苦手で、自分の関心やペースを優先させがちなのが特徴だ。自閉症やアスペルガー症候群などもここに含む。 ASDは社会性の障害と言われるが、最近の研究では、知…

五月祭はロボットを楽しんだ

東大の五月祭が昨日と今日開催中だ。近所の本郷キャンパスで開催されているが、混雑とリア充が苦手なので、あえて近づかない。母校の北大では6月に楡陵祭という学祭があったが、勝手に参加放棄をして旅行とかに行っていたっけ。でも、昨日は五月祭に行って…

東大「情動」のシンポジウムで、VRから情動の、廣瀬先生の話を聞く

調べ物をしていて東大の産学連携のサイトを見ていたら「情動」の二文字が。「第26回科学技術交流フォーラム 情動ー人の感性を科学するー」と言うイベントでした。ここのイベントとしては珍しく満員御礼で座席数の多い会場に移すほどの大人気ということでした…

FOVE小島さんが作りたいゲームコンテンツがおもしろい

先日、Tokyo VR Meetupで、FOVE代表取締役の小島さんが語っていた、こういうのがやりたいというコンテンツの話、もっと聞きたかった。 FOVEで進めたいジャンルがあって、「アンコンシャス・インタラクション」というのを押して行きたい。ユーザーは何かを意…

ダンスを記録する表記法「ラバーノーテション」と符号化出来ないものの価値の共有

フランスからお客さん(日本人)が来ていて、食事に。彼女は社会学者で、音楽で言う音符のような、ダンスを記録する「ラバーノーテーション」という表記法を使って人の動きを記録して研究をしている。人の体の動きを符号化して表記するということだから、ダ…

「よわい」人間と「つよい」人間

自分が目立ちたいと思っていなくて、恥ずかしがり屋で、誠実に言葉を選ぶ「よわい」人間と、自己アピールが得意で、それゆえセンセーショナルな言動で人を惹きつける「つよい」人間に、おおまかにわけられるとしたら、私は「よわい」人間に共感し続けている…

政府や企業、研究機関などの会議やシンポジウムには若者や女性がほとんどいない

科学技術や医療の取材をするようになって早10年目になった。企業や政治家、マーケットの取材をしていた時期もありつつ、中央省庁、大学・研究機関、医療機関などにはずっと取材に行っている。それらの会議やシンポジウムの取材に行って、気付くことがある。…

人工知能の活用と人間の尊厳

中高の6年間を過ごした女子校はミッションスクールで、校訓は「人間の尊厳のために(HOMINIS DIGNITATI)」だった。「人間機械論 人間の人間的な利用」(原題:THE HUMAN USE OF HUMAN BEINGS)を再読して、この奇妙なタイトルの意味することがようやく腑に…

なぜ女性の研究者は少ないのか?

工学系や情報系の研究者をずっと取材していると、取材対象者はほとんどは男性だ。学会や研究会のイベントへ行くと、だいたい9割が男性。今日行ってきたコンピュータ囲碁大会は、事務局のお姉さんを除くと100%男性だった。 女性の数は全体の半分いるはずだ…

有楽町のカフェ・レストラン「6th by ORIENTAL HOTEL」のホスピタリティが素晴らしい

丸の内仲通りから一本入り、有楽町方面へ向かう途中、有楽町ビックカメラの向かいにあるレストランが6th by ORIENTAL HOTELだ。一部はオープンテラスになっていて、天気のいい昼間や夏の夜は店内のガラス戸も開け放され、昼夜問わず多くの人で賑わっている。…

Googleがロボット事業を売却へ?

Googleが、2013年に買収したロボットベンチャーのボストン・ダイナミクスの売却を検討しているとブルームバーグが伝えている。ボストン・ダイナミクスは、先日人型ロボットのAtlasが雪道を歩いたり倒されても起き上がって歩き出したりするといった動画を公開…

IT人材不足と言うけれど、変な人たちを受け入れる環境が企業を強くするのでは

ITはあらゆる分野に入り込み、ITを制したものが経済を制するのが現状だ。ところが、国内では、そのIT人材は不足しているという。経産省系独法の情報処理振興機構(IPA)が毎年出しているIT人材白書によると、ずっと不足している。ちなみに昨年度版では、「大…

政府はITの研究開発にいくら投じているのか?

AI

Googleが買収したDeep Mindの人工知能「Alpha Go(アルファ碁)」が、韓国の世界トップレベル棋士のイ・セドルに3連勝と勝ち越した。 一方、国内を振り返れば、ITの研究開発も社会実装も遅れを取っている。そこで政府は、日本再興戦略、科学技術イノベーシ…

AIとかIoTとか本気で取り組むなら、社会経済構造と働き方を大きく変える必要がある

「『副業禁止の禁止』を政府にはぜひお願いしたい。副業禁止規定を持っている会社が禁止となると、かなりの優秀な人材が活躍できるようになる。今はものすごく優秀な人材を大企業が絞め殺していて、気付くと他の会社では使えない人材となっている。そもそも…

変態で変人の研究者たちが愛おしすぎるマンガ「決してマネしないでください。」がめちゃくちゃおもしろかった

Unityの簗瀬さんが「決してマネしないでください。」(蛇蔵、講談社)をFBで薦めていてKindleでポチったら1ページ目からツボにはまり、全3巻一気読みして、明日朝早いのに、感想文を書かずにはいられない深夜3時。とにかく読んでいると、研究者が大好きだ…

テレプレゼンス人間に、コミュニケーションを代行する

遠隔地にいる人とのリアルタイムのコミュニケーションには、Skypeなどテレビ会議(顔が見える、主に音声でやりとり)や電話(音声でやりとり)、チャット(テキストでやりとり)を使う。チャットと比べるとSkypeでは、表情と音声でコミュニケーションがとれ…

「自分の頭で考える」は、自分ひとりじゃなくて、ほかの人と一緒に

「自分の頭で考えなさい」 とメンターのような元上司に、しょっちゅう言われる。質問をすると、まあだいたいそうやって叱られる、いまだに。 「考えてもらいたい。考えるきっかけになればと研究をしている」 と尊敬する研究者である友人は言う。 友人が言う…

「炎上」して好循環が生まれた、人工知能学会誌表紙問題

前回の続きで、「炎上」によってテクノロジー、研究が良い方向へ向かうサイクルの話。意図せずして議論を呼び「炎上」し、研究者自身が変容し、新しい物事が始まり、結果的に研究者にとっても社会にとってもよい循環に入ったという事例に、人工知能学会誌の…

安心して「炎上」できる場が、テクノロジーを進化させる

「議論を呼びそうな研究を安心して見せて、いろんな人のフィードバックをもらって、社会に受け入れられるのかどうなのか、どういう形なら受け入れられるのか、次にどういうふうに研究を進めていけるのか、議論して考えられる場があるといいよね」 と、インタ…

人工知能研究で文科省、経産省、総務省の連携は同床異夢か

文科省、経産省、総務省の三省が連携して人工知能研究を進めるという。もともと政府の日本再興戦略などで人工知能研究の推進をうたっているので、当然といえば当然だ。だが、それぞれが見ている夢は異なるのではないだろうか。 先日、経産省系ファンディング…

機械を支配し、機械に支配される、人と機械のあり方

人工知能(Artificial Intelligence:AI)やロボットが人の雇用を奪い、やがて人の知性を超えるシンギュラリティが訪れるーー。パソコンやスマートフォンに四六時中向かっていることで、心身ともに健康を蝕まれていくーー。 有史以降、言語、印刷技術、写真…

「その人がどう考えどう感じるか」患者の主観評価へ、という中島先生の話と、人とテクノロジーにおける主体感について

先日のシンポジウムで興味深かったのが、医療現場で今、患者の主観にもとづいた治療評価がトレンドとなっているという、国立病院機構新潟病院副院長の中島孝先生の話だった。 「臨床評価を、患者の主観に基づいた評価にしていこうとしています。医療における…

バーチャルリアリティ(VR)ってなんだ?

バーチャルリアリティ(VR)の市場が立ち上がりつつあり、今年はVR元年とも言われる。Oculus、サムスンのGear VR、プレイステーションVRといったコンシューマー向けのヘッドマウントディスプレイ(HMD)が登場し、ベンチャー企業を中心としてアプリ開発やコ…

悲しいから泣くのではなく、涙が出ると人は悲しくなる?

悲しいから泣くのか?泣くから悲しいのか?感情が先に生まれるのか、身体の変化が先に起こるのか、これまでの研究から、多くの心理学者や生理学者は「泣くから悲しい」と考えている。 東京大学大学院の吉田さんは、涙が流れるメガネをつくって実験をした。メ…

テクノロジーが好きなのに、HMDもウェアラブルも苦手で辛い

新しいテクノロジーが好きだ。なんでもまず体験する。作っている人の話を聞く。最近はVRブームもあり、HMDやウェアラブル端末を使ったアプリケーションが多い。だから試す。HMDをかぶる。ヘッドフォンをつける。ウェアラブル端末を身に着ける。 HMDは、映像…