電王戦の終わりと、人工知能と共に生きていく人間と
コンピュータ将棋とプロ棋士が対局をする電王戦は、今年4月の開催をもって終了するという。
記者会見でドワンゴの川上さんが
電王戦をドワンゴでやっていこうと決めたときから、将棋界のことだけではなく、人間とコンピュータの関係がどうか、人間社会に示すと決めてやってきた。その意味で、人間とコンピュータが同じルールで真剣勝負をするというスタイルが果たした歴史的役割はこれで終わったと、(電王戦を)終了することにした
と言っていた。つまり、勝負にならないほどすでにコンピュータのほうがずっとずっと人間よりも強くなったのが現状というわけだ。
この今終了という時期については、情報処理学会ではすでに1年半前にコンピュータ将棋プロジェクトの終了を宣言しているし、電王戦の発表があった日にあるAI研究者とこの話をしたら、むしろ電王戦を終わるのは遅い、まだ続けるの?という見解だった。なるほど、そうだなあ。そして羽生さんは結局コンピュータ将棋との公的な場での直接対決のタイミングを永遠に逃してしまったのだなあ、今更だけれど、2年位前に言っていた話だけど。
将棋や囲碁のようなルールベースの完全情報ゲームは、そもそもコンピュータが得意とする分野。アルゴリズムとデータ量と計算機のパワーが上ば、コンピュータが強くなるのは必然だ。
だからといって、コンピュータ(いわゆる人工知能)が人を超えたということには当然ならない。が、そうはといっても、そもそも人間の知能に近づけるとして研究開発されてきたコンピュータや人工知能なので、多くの人びとの関心は高い。
でもね、コンピュータ将棋のように、人とコンピュータ(人工知能)が競い合って注目を集めるショーはすでに時代遅れ。時代はもっと進んでいる。だって、実際に「使える」コンピュータ(人工知能)がもうそこにあるものだから。じゃあどう使うか。と、だからもっとプラクティカルに考えないといけない。
それは、普通の人たちだけではなく、コンピュータや人工知能に詳しい研究者やエンジニアも同様だ。
ということで、人工知能学会倫理委員会では、研究者が社会と対話をしていくための基盤としての倫理指針をこの2年間議論して作ってきた。それが昨日の学会の理事会で承認された。
みなさまお疲れ様でした。でも、やっと基盤ができたところだから、これから、ですね。