コンピューティングの学会が基調講演にバノンを呼び炎上、中止
研究者とその周縁の境界があいまいになり、人々の交流・相互作用が進むのは不可避である一方、異なる多様な価値観を持つ人間の交流は、ポジティブだけでなくネガティブな側面も引き起こす。(研究者はネットに生息する人が多いためか)研究者とその周縁で観測されるいわゆる「炎上」案件もネットで容易に可視化されるようになってきました。先日別の炎上のかおりのする案件の話題からACEの話が出て思い出したので、去年の話ですが以下メモ。
昨年12月に予定されていた、ACE2018というエンターテインメントコンピューティングの国際学会が中止になるという、ちょっとした騒動があった。10月末、ACE2018の基調講演にトランプ大統領の元側近で右派メディア「ブライトバート」を経営するスティーブ・バノン氏が招かれたことが明らかになり、もうひとりの基調講演のスピーカーは辞退、ツイッター上では「#boycottACE」のハッシュタグでボイコットを呼びかける声が広まり、採択された研究者たちも論文取り下げた。以下のWIREDの記事にもあるように、ACE2018でバノン氏を招待したのはACE2018の大会長だ
Why Is Steve Bannon a Keynote Speaker for a Gaming Conference?
なお、過去のACEの設立に、エンターテイメントコンピューティング関連の日本の研究者も関わっており、情報処理学会エンターテインメントコンピューティング研究会では、以下のようにACE2018についてツイートしている。
情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会(SIG-EC)は,本年12月に開催される国際会議ACE2018 (Intl. Conf. on Advances in Entertainment Computing Technology) に関し,開催には一切関与しない方針であり,また現在も関与していないことを表明いたします.(続く)
— 情処EC研究会 (@ipsj_sigec) 2018年11月2日
多くの方がご存知のように,国際会議ACEと当研究会は,EC研究の草創期から協力関係にありました.しかしながら,ACE2018の運営責任者が,政治的活動を中心とする登壇者の方を含むプログラムを公開しております.(続く)
— 情処EC研究会 (@ipsj_sigec) 2018年11月2日
2018年11月2日現在,ACE2018のウェブサイトに会議関係者として掲載されているお名前は,ご本人の承諾を得ていない場合もあることが確認されております.また,既に論文・講演を取り下げたにもかかわらず,プログラムに掲載されている状態も確認されておりますので,ご注意ください.(続く)
— 情処EC研究会 (@ipsj_sigec) 2018年11月2日
結局、11月15日にはACE2018のトップページが更新され、「ACE2018はfanatic left-wing anti-free speech protests(狂信的な左翼の反自由な言論の抗議)によってシャットダウンされた」というメッセージが掲載され、ACE2018は中止となった。