人間とテクノロジー

人間とテクノロジーについて、人と話したり、議論したり、思ったりしたことの備忘録

肉肉学会

肉は人を幸せにする。でも、知識があると、もっと。 知識って身に付けると世界の感動が増強される究極のAR — 稲見昌彦 Masahiko Inami (@drinami) 2010年11月6日 ということで、えとさんに誘っていただいて、知識を身に付けながらおいしいお肉を味わう肉肉学…

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

ナチス・ドイツのエニグマによる暗号の解読を進めた英軍でのアラン・チューリングのストーリーを描いた「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を観ました。AmazonPrimeで無料だったから。もう2年前の公開なのね。 イミテーション・ゲーム/…

6年前の今日

東日本大震災から今日でちょうど6年。毎年振り返っているけれど、改めて振り返り。6年前の3月11日も、今日みたいに青空が広がる、良い天気でした。 2011年3月11日は、午前中はつくばの動衛研に取材。お昼くらい、帰りのTXで、その前日にインタラクションで…

技術なくってよし、を選べるのかどうか

研究者や技術者の取材をここ10年近く続けている。研究者も技術者も、テクノロジーによって課題解決をする。逆に言うと、その課題解決にたとえテクノロジーが必要ないとしても、あえてテクノロジーを適用する傾向があるということなのではないのかしら。 テク…

当事者不在の議論

日本学術会議ではこれまでに2回にわたって「軍事研究」を禁止する声明を出してきた。一方、一昨年度から防衛省(防衛装備庁)による安全保障技術研究推進制度としたファンディングが始まり、大学などのアカデミア研究者が防衛予算によって研究をする仕組み…

縦目と順目

肉の切り方で味は変わるのだろうか? ローストビーフとメガネ。それぞれ肉の線維に沿って切った順目と縦に切った縦目で、食べ比べた。先日の、Living Lab Hongoのオープニングパーティーで、格之進の千葉さんのお肉。 最初にローストビーフから。一口では食…

この複雑な世界を複雑なまま生きることは果たして可能か

鈴木健さんを知ったのはたぶんPICSYで、そのあと「なめらかな社会とその敵」を読んでドハマリした。スマートニュースのアプリは知っていたけれど、その経営者だと知ったのはそのあとだった。 なめらかな社会とその敵 作者: 鈴木健 出版社/メーカー: 勁草書房…

日本酒

アルコールが苦手だ。すぐに赤くなり動悸が激しくなり、気持ちが悪くなったりする。学生の頃は飲み方もわからずよく吐いていた。たぶん、2型アルデヒド脱水素酵素がうまく働かないのだと思う。(アルコールは肝臓で1型アルコール脱水素酵素によってアセトア…

LIVING LAB HONGO

CABINはみこしだった。みんながそこに集まった。 っていう話を、CABINが撤去される直前に開かれた「さよならCABIN」といういうイベントで先生方が仰っていたのが忘れられない。 CABINは部屋の5面がディスプレイになっている没入型ディスプレイで、1990年台…

「マイクロバイオームの世界 あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち」(ロブ・デサール&スーザン・L.パーキンズ著、斉藤隆央訳、紀伊国屋書店)

2000年代前半の学生時代。同じ大学で農学部の院生だった友人がメタゲノムの研究をしていました。当時、次世代シーケンサーが出てきたくらい。トリ1羽ずつからサンプル採取してはちまちまとPCRでウイルス遺伝子の断片を探していた当時の私は、細菌の集団をそ…

電王戦の終わりと、人工知能と共に生きていく人間と

コンピュータ将棋とプロ棋士が対局をする電王戦は、今年4月の開催をもって終了するという。 記者会見でドワンゴの川上さんが 電王戦をドワンゴでやっていこうと決めたときから、将棋界のことだけではなく、人間とコンピュータの関係がどうか、人間社会に示…

人の感情に働きかける

「人は泣くから悲しいのか?悲しいから泣くのか?」心理学では、「人は泣くから悲しい」という説が支持されているのだという。身体反応が先に立ち、それから感情が生まれる。 「扇情的な鏡」という作品がある。ディスプレイを鏡に見立てて、ディスプレイ上の…

ディストピア化する社会とテクノロジー

先週号で、ディストピア小説の記事を書いた。 toyokeizai.net 去年末あたりから「ディストピア」についてEちゃんとよく議論をしていて、その議論の参考にとディストピア小説をよく読んでいた。ディストピア小説とは、ユートピアを目指していたはずなのにいつ…

ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2017から

ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2017と題した、5人のノーベル賞受賞研究者ら国内外の著名研究者らによる講演会が今日、東京国際フォーラムで開催された。テーマは「知の未来〜人類の知が切り拓く人工知能と未来社会〜」。正直なところ、人工知能をテー…

「「軍事研究」の戦後史:科学者はどう向き合ってきたか」(杉山滋郎、ミネルヴァ書房)

科学史が専門で、北大教授の杉山先生による「「軍事研究」の戦後史:科学者はどう向き合ってきたか」は、戦中から今に至る、軍事(安全保障/防衛)研究とアカデミアをめぐる出来事がまとまっていて、大変便利な本でした。 国の安全保障政策の動向はもとより…

めんどくさい、は実はおもしろい、だったりする

この前の◯◯さん(上司)、なんだったの、めんどくさい。 と同僚が言い、私は何のことか、思い当たらなかった。私にとっては記憶に残るほどめんどくさいことでもなく、重要なことでもなく、サラッとその場で聞き流して忘れてしまう程度のことだったんだろう。…

WIREDの科学特集についてもやもやしている友達に話すことの整理

WIRED最新号の特集は「サイエンスのゆくえ」。 wired.jp 村上陽一郎さんの寄稿を始めとして、科学哲学の色が濃い特集だ。これを読んだKさんがもやもやと感じていることをインスタでメンションをくれたので、今度会うときに彼女に話したいことを整理しようと…

消極的に生きる

他の人がどう見ているのかどう考えているのかどう評価しているのか、気になる。でも目立つのは恥ずかしい。自分の名前が前にでるのは恥ずかしい。抵抗がある。でも自分のやったことは認めてもらいたい。認めてもらうには、他の人に共感してもらいたい。でも…

依存とコミュニケーション

*先月、依存の特集のために取材をしていたときに書いた備忘録 「ネット依存症」という疾患がある(もっとも精神疾患の国際的な診断基準には含まれていない)。ネット依存、というとSNS依存のように1日中ネットを見ている状態を指すのかと思ったが、そうでは…

ナビゲーションに地図はいらない

仕事がら、初めて訪れる場所へ行くことが多い。iPhoneのグーグルマップで目的地を検索して、iPhoneを見ながら目的地まで向かう。 正直、めんどうだ。いや、一昔前は地図をプリントアウトしてそれを持ち歩いて見ていたから、当時と比べたらプリントアウトを事…

「日本のルィセンコ論争」(中村禎里、みすず書房)

※昨年、特定の人に読んでもらうために書いたもの。 日本のルィセンコ論争 (みすずライブラリー) posted with amazlet at 17.01.01 中村 禎里 みすず書房 売り上げランキング: 952,751 Amazon.co.jpで詳細を見る ルイセンコ事件をご存知だろうか。1930年代の…

「倫理」ブームと、「そもそも」から考えるということ

なんだか一部界隈で、「科学技術と倫理」というお題目がブームになっている。ここで言う「倫理」は、生命倫理、環境倫理、情報倫理のいわゆる応用倫理とは少し異なるように見える。倫理、といってもESLI(ethical social legal issue)全般を含む。もっと言…

仲間をつくる

さて、プロジェクトの開始は決まった。とりあえずここではPJエマと呼ぶことにする。まずは仲間が必要だ。ほぼ1ヶ月間で、チームが出来上がってきた。 まず、前提としてEちゃんは仲間をつくるのがとてもうまい。これはもう彼女の才能だ。それでも、異分野の…

「安心して炎上できる場」をつくる

「安心して炎上できる場」をつくりたい、という話を去年の夏くらいからEちゃんと話してきた。で、その議論から出てきたプロジェクトが、年明けから動き出した。 私にとってのきっかけはある研究者の研究。3年近く前、その研究の話を聞いて、2年半前に記事…

ITと世界の分断、拡大する格差

最先端のITを理解して活用し、その恩恵を受ける人は、世界のわずかの人々なのだ、と彼女は言った。その資格を得られる人は、経済的にも文化的にも豊かな人々で、新しいテクノロジーを受け入れ、使いこなすだけの「リテラシー」を持つ。そりゃそうだ、1000万…

紅白歌合戦2016ーPerfumeのダイナミックVRは次のVRの流れを作るか?

紅白歌合戦の楽しみは、演出のテクノロジー。テクノロジーの流行が反映されています。毎年楽しみなのがRhizomaticksが演出を手がけるPerfume。今回は「ダイナミックVR」と言うキーワードが。 床面と背面の2方面がディスプレイになっていて、そこでパフォー…

2016年に書いた記事振り返り

2016年は記者(週刊朝日編集部)から編集者(医療健康編集部)になり、また記者(AERA編集部)に戻るという慌ただしい1年でした。分野も、週朝では政治から経済からなんでもやっていたのが、医療健康編集部では医療や医学部、医師が対象、AERAでは医療や科…

インターネットディストピア

昨日、エマちゃんに会いに駒場へ行ったら、博物館でマザリナードの展示をしていたのでふらりと入った。 マザリナードは、フランス革命直前の17世紀のフランスで宰相マザランに関連して出回った大量の文書だ。もともと、フロンドの乱と同時期に反マザランの書…

トランプの大統領の誕生と科学者の反応

ドナルド・トランプが米国の次期大統領となることが決まった。一般に、科学技術政策は、国の重要アジェンダとなることはあまりない(票田にならない)が大統領によって、科学研究に影響がでることもある。例えば米国では2001年にジョージ・ブッシュ大統領がE…

今年もDCEXPOへ行ってきた

先週、デジタルコンテンツエキスポ(DCEXPO)へ。DCEXPOは経産省などが主催するデジタル技術の展覧会で、経産省が認定したInnovative Technologiesの展示やデモがあり、それらを誰でも無料で体験できるイベントだ。他にもシンポジウムや展示があるが、主に大…